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食の自由

食べるということは、人の営みが「衣食住」で表わされるように最も基本的な部分で、年を経れば経るほど、飽くなき探究心が芽生える部分でもあります。美味しいものを美味しく食べることもさることながら、美味しい食事は美味しい食卓という「場」をエンターテインし、そこを基点として様々なコミュニケーションがなされることもまた、「人が人らしく生きる」ために不可欠な要素だと思います。

日本の食料自給率が大変低いことは、僕の世代でも小学生の時に散々吹き込まれました。たまに地方に住んでいた方に言うと驚かれるのですが、僕の住むのは横浜の片田舎なので、田畑を持つ農家の方もいらっしゃいますし、小学生の頃には田植え体験、刈入れ体験などもやりました。しかしながら、農林水産省によると神奈川県の食料自給率は3%、全国平均の食料自給率が40%ですから、これは非常に低い数値と言うことになります。もっともここで言っている食料自給率というのは、カロリーをベースにした、国民1人・1日あたりの国産熱量 1013kcal ÷ 国民1人・1日あたりの供給熱量 2562kcal × 100 = 40%ということですから、輸入と輸出のざっくりとした比率とは、若干隔たりがあるのだと思います。

食料、特に魚を例に挙げると、まず購買判断の基軸となるのは、この国産モノか輸入モノかということと、加えて天然モノか養殖モノかという違いであろうと思います。近年では国産の魚が国内のマーケットで売り切れず、フィッシュバーガーのパティなどとして加工され、海外に輸出されているという状況があります。これは、スーパーなどの量販店が通年販売計画通りの値段と量を捌くために、安定的に供給され、品質管理が容易い、養殖モノをメインに扱うことで、一般消費者も価格が割高で品質にばらつきのある天然モノを選ばないようになってしまったという現象です。

一方で原産地表示やICタグの導入など、食の安全性の確保に向けての動きもあります。しかしながら、原産地表示をすることにより、新鮮で美味いロシア産ベーリング海の鮭より、乱獲の影響を受け漁獲量が少ないゆえに獲られた産卵直前の痩せ細った国産北海道近海の鮭の方が消費者により好まれ、それが鮭の味だと思い込んでしまうという別の問題が出てきています。また、ICタグにより生産者情報が確認できるような仕組みも一部スーパーなどで導入されていますが、そこに表示される情報が必ずしも判断の基準になるかというと確かではありません。

野菜などは、早くから有機栽培が注目を集め、その美味しさに消費者も大分慣れて来た感があります。フレッシュな野菜や果実を使ったジュースバーが人気ですし、オーガニックレストラン、更には「Oisixでは、作った人が自分の子供に食べさせることのできる食品だけをお届けしています」を「たべもの安心宣言」として掲げるネットスーパー、Oisixも売上を伸ばしています。感度の高い消費者もおり、そうした消費者が新しい食との付き合い方を模索しているようにも見受けられます。

新たな教育として「食育」にも注目が集まっています。これは農林水産省が推進している「食のあり方」に関する教育です。「食育」の分野においては、グルメ大国フランスが進んでいると言われています。

フランスの食育の成果について

この10年ぐらいでフランスの食のトレンドも変わってきました。有機栽培の食品(BIO)を支持する人が増え、マルシェ(市場)でもスーパーでも売られているのが普通の光景になっています。

食育を受けた第一世代が今30歳ぐらいとなり、BIOの消費をリードする層になってきています。これは「量より質」の大切さを学童期に学び、本物が分かるようになった食育の成果のひとつといえるでしょう。もちろん狂牛病などの教訓も大きく影響していると思います。

LOHAS(Lifestyles of Health and Sustainability)ブームやお取り寄せブームなども日本の食文化への良い影響があると考えられます。僕も、岐阜県中津川の満天星一休の「杣の木漏れ日」という干し柿に栗が入った和菓子や、福井県小浜の田村長の「小鯛の笹漬け」、そしてエスロードの「ナチュラルプライムサーモン」などは愛してやみません。しかし、「ブーム」と書いた通り、「LOHAS」も「お取り寄せも」消費文化のトレンドの一つでしかなく、必ずしもそれが日本全体の食文化の向上に繋がるとは言えない部分があります。

小泉改革がもたらすのは格差社会だと言われます。有機栽培もオーガニックレストランもLOHASもお取り寄せも限られた人、選ばれた人しか嗜めない恐れがあります。以前お客さんがこんなことを言っていました。「今の若いヤツはコンビニ飯で満足する、美味いものを知らないから美味いものへの貪欲さもない、それがないから仕事に対する貪欲さも出てこない」と。僕のことをおっしゃってたわけではないですが、非常に悔しかった思い出があります。

何を食べると体に良いなどという番組は散々昼間からやっていますし、TVで特集された翌日に寒天やこんにゃくが売り切れたという話も聞きます。日本人はことに食には関心の深い民族だと思います。一方で政府は「食育」という警鐘を鳴らしている状況。僕はスーパーに並んでいる食品だけでなく、この国の食の流通の仕組み、品質管理の体制、安全性向上の取り組みにも大いに関心を払うべきだと思うのです。「デートに使える隠れ家的レストラン特集」みたいなものだけに目を奪われないで。狂牛病で輸入禁止になった牛肉より、養殖場で抗生物質と牛骨粉を食べて飼育された養殖魚の方がよっぽど怖いのです。

何だか私達の「食の自由」は気付かないうちに蝕まれている気がしませんか。

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コメント

食品メーカーのクライアントも、サイトに食育コーナーを作ったよ。勉強になります。
この間のR邸でのお野菜もほんとおいしかったなぁ。
健康な身体は、健康な食品からだね。

多分、政府が声高に語るにしても、
最終的にはメーカーや卸や商社や、
責任能力のある人達が真摯な態度で取り組んでいかないと、
この国の食文化は本当に張子の虎になってしまうのではと、
不安に駆られてしまいます。

しかし、パッと見た時、
「健康な身体は、健康な食品からだね」を、
「健康な身体は、健康な食品だからね」に読み違えてしまい。

リゾウの家の野菜美味かったね。
うちの近所も地主さんが畑持ってて、
たまに軽トラで売りに来てくれるんだけど美味しいよ。

Oisixのを読むと、
ということは自分の子どもに自信を持って食べさせられない、
という商品を売ってるところもあるんですね、
ということに気付いてしまうよね、怖い怖い。

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