CGMとインセンティブ
Web 2.0の醍醐味は、インターネットが登場した頃から有り様を変えて続いてきたことですが、個人がメディアとしての機能を持てるということだと思います。特に2.0という意味ではCGM(Consumer Generated Media)的な部分、ブログやSNSなどが大きいように思います。Amazonを見ても、勿論Amazonがプロモーションを打ったり、レコメンデーションをしたりすることで売れてる商品も多々あるのでしょうが、Amazonアフィリエイトで知人や著名人の紹介で購買決定をするケースも多いように、また購買決定において商品情報に付記されたユーザレビューがサポーティングパラグラフとなっているように、いつしかAmazonのようなサービスは器を用意したらユーザ間の大きなコミュニケーションのうねりに巻き込まれて勝手に売れていく、言わば「CGB(Consumer Generated Business)」的な様相を呈してきているのではないでしょうか。Amazonの人には失礼な言い方かもしれませんが。
ある種、タクシーとレンタカーのあいのこのような状態かもしれません。タクシーつかまえると、横でドライバーだった人が一応道筋や使い方の指示はしてくれるものの、お客が自分で運転して目的地に辿り着き料金を支払うような感覚。見知らぬお客にたった何百円という利用料金のためにウン百万という自動車の運転を預けるわけですから、そこにはリスクが伴うものの、最終的にはお客の良心を信用して、身を委ねるしかない。CGM的なものをビジネスで扱う、僕が言うところのCGB的なところというのは、結局のところ「ユーザの良心に企業の信用を委ねる」ということだったりして、これは非常にリスキーなことですが、実際問題としてWeb 2.0の世界で成功事例として挙げられる企業は、こういったリスクをおかしてユーザのロイヤリティを勝ち取っているのだと思います。
しかし一方で自分の意見意向を発信することに飽きてくる人たちもいるのではないかと危惧します。好きだからいくらでも労力をかけるよ、という趣味人も特に日本のような国には多いですが、それでもやっぱり自分の「行為」に対する「見返り」、何らかの形での「インセンティブ」というのが必要になってくるのではないでしょうか。
日本にはポイント還元という文化があります。これは一番インセンティブとしてわかりやすい。何かの行為の代価としてポイントを贈呈し、そのポイントを使って割安で次の商行為に臨んでもらう。そうすることで、顧客を自社サービスの中に囲い込むことができるし、ユーザにとっても自分の時間と労力を犠牲にするだけの旨みがある。楽天はこうしたポイント還元の仕組みをプロモーションやアフィリエイトなどで上手に使って成功しています(楽天球団が試合に勝ったら2倍のポイント贈呈とか)。
ただ必ずしもインセンティブがお金である必要はありません。例えば自分のブログに面白い記事を書けば、ブログのランキングサイトで上位に表示されるというのがユーザにとってインセンティブとなるケースもありましょうし、SNSのコミュニティで頻繁に有用な回答を提示し続けることが、同じ興味を持つ仲間との出会いの開拓につながるというのも結果論としてのインセンティブでしょう。
CGMだから放っておけばいい、ではなくて、これから企業がどういった形で自分たちの商行為をユーザ間のコミュニケーションの大きなうねりの中に組み込むか、ということが大事になってくるように思います。そこで必要になってくるのは、参加する、労力を割く、場合によっては奉仕する、ユーザに対するインセンティブの付与なのではないでしょうか。Web 2.0が良心ベースであるからこそ、企業へのロイヤリティを高めるためには、良心を守ることによって企業からユーザがリスペクトされているという証、インセンティブが必要になってくると考えています。
Web 2.0的な企業というのは、「We Are Consumer Generated Company」と言えるような企業なんじゃないでしょうか。




