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美辞麗句

書くことは仕事の一部ですが、大切な趣味でもあります。書き連ねることは新しい発想を生み出してくれますし、書き記すことは記憶を有形なものへと変換してくれますし、書き溜めることは思考の泉源を豊かにしてくれるように思います。そして、言葉という単一の意味性が、脳内に陳列されることによって紡がれる物語ということには、人間の叡智と言語の不思議を感じます。書くという行為そのものが、脳力の増幅装置なのではと思っています。

中学高校と一貫教育ということもあってか、たくさん文字を書きました。大学で書いたレポートなぞ大した量ではなくて、多分自分の言語力というのは中学高校で養われたように思います。実は高校の最初の二年間は日本語で長文をなかなか書く機会がなく、まるで暗黒時代のようで、かなり鬱積したものがあったのですが、高校三年の時に「社会学」やら「国語」やらの授業でたくさん書く機会に恵まれ、それはもう遮二無二書きました。

読み返すと当時のそれは今より過敏で繊細で、よくよく言葉を選び、綺麗に韻を踏んでいたように読めます。「美辞麗句」と言うと聞こえは悪いのかもしれませんが、そういったものを目指してましたし、そういうものを書こうとしていたという自覚症状がありました。司馬遼太郎に感化され、宮沢賢治に諭され、村上春樹に啓発され、小林秀雄に戒められていました。

その後、大学生時代に傾倒したのは、むしろそれまでとは反対で、「ストレート」と「ウィット」という2極で文章を書くことで、それは多分に英語的欧米的だったように思います。わかりやすく言うと洗練された女性誌のような、清廉な、でも甘美な、という感じのセクシーな文章。なかなか真似したのですが書けませんでした。なかなか僕の文章は上品な魅惑を孕んでくれませんでした。

今は割と小難しい書き方をしているかも知れません。詩吟を目指す青さはないですし、芯棒を研ぎ澄ますストイックさもありません。何だか失礼な話ですが、今改めて「試しながら」書いているというのが現状です。企画書それぞれで言葉の色温度が違ったりしますし(クライアントによって変えているという部分も含めて)、こちら(kosukekato.com)とあちら(LUXURY)でも印象の違いはあろうかと思います。

ただ、この年になって、自分のスタイルも確立されないままで、なかなか寄り添えない文章というのは出てきました。1.読者になれなれしい。2.読者を侮っている。これは別に読者にフレンドリーなのが悪いとか、読者を馬鹿にしている文章が多いということではなく、両者とも同じ意味合いを差しているのですが、ようは読者に対する「リスペクト」がない文章は嫌だなあと思うのです。

「リスペクト」って英語ですが、「尊敬」というより「敬意」というニュアンスです。敬意のある文章というのは品位のある文章というのに繋がってくるのではないかと思います。そして品位というものは、洗練された優雅な小説には多かれ少なかれ備わっていて、自分が幼少の時に影響を受けたものの本質はそれではないかと考えています。

一回小説を書いてみようと試みたことがありましたが(松山市のやっている坊ちゃん文学賞で募集していた青春小説)、あまりに重いテーマを選んでしまい、テーマに引きずられて1200字ほど書いた頃には、何だかまだまだ導入の核心に触れない情景描写を並べただけなのに、鬱蒼としてしまって駄目でした。でも小説を書いてみるという試みは、自分のように物語を企画書なりビジネスレターなりコンテンツライティングなりに活かそうと考えている人間には必要なことかも知れませんね。

そういう意味ではブログというメディアはある意味での私小説というコンテンツでもあるわけで、試行錯誤をしつつも、積み重なり折り重なって最終的に自分にとっての価値があるようにしたいですね。

加藤康祐、26歳、修行の真っ最中です。

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