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ビジネスの三様

オーダーメイドというと、非常に贅沢な感じがします。たまに男性誌ではオーダーメイド特集なぞが組まれたりしますが、とても手の出る価格ではありません(鞄とか財布とか靴とか眼鏡とか)。しかしそれもそのはず、オーダーメイドということは言ってみれば「その道のプロフェッショナルを自分のために時間拘束する」ということなわけですから、値段が張るのも当たり前なのかも知れません。

僕の人生初オーダーメイドは、今年になって出会ったヘンプアーティスト、Marico氏へのグラスループの注文でした。「こういうのを作ってくれ」というオーダーではなく、交わしたコミュニケーションの中から僕のイメージをMarico氏が解釈して、イメージに合ったものを作る、まさしくこれは「創作」ということだなと感じました。

オーダーメイドとまではいきませんが、そう言えばスーツはカスタムメイドというかイージーオーダーです。東戸塚のオーロラモールに入っていて便利なので、Takeo Kikuchi Sculptureというところで頼んでいます。体型がいわゆるラグビー体型で歪ですから、既製服は体に合いません。かと言ってぶかぶかのスーツを着るのも野暮ったい、というところでカスタムメイドで2着ほど作りました。

どの程度のカスタマイズかというところも重要になってくるかと思いますが、どうやらお店の人と話していると、顧客対応はなるべくオーダーメイドライクに、しかし、生産工程は工場で流れ作業でというような按配のようです。ですから工場生産なので、指定できる補正は限られていて、全てが全て思い通りになるわけではないですが、「それなり」に仕上げてくれるのは、さすがプロの仕事だと思います。

グラスループとスーツに違いがあるとすれば、それはこういうことだと思います。グラスループはMarico氏に一切をお願いして、Marico氏が持つ僕のイメージにあわせて作っていただいたもの。ですから、僕にとってはどんなものが出来上がってくるかというのはブラックボックスで、それがゆえの楽しみと驚きがあるわけです。一方、スーツはある程度頭の中に完成形がイメージされていて、その完成形に仕上がりをどれだけ近付けてくれるかというのが重要になってきます。もちろん、より良く見せるための提案はしてくれますけどね。

どうやらこの2つには、客商売のエッセンスが凝縮されているように思います。デザインの仕事は基本的にオーダーメイドです。クライアントが果たして「新鮮な驚きの提案」を求めているのか、それとも「理想のための最善の解決策」を求めているのか、というところで仕事における立ち回りの仕方は変わってくるように思います。

どちらが大事という話ではないですが、例えば「理想のための最善の解決策」を導き出す過程で「新鮮な驚きの提案」をアクセントとして織り込んでいくことで、プロジェクト全体にメリハリをつける、というような考え方はありだと思います。独善的になり過ぎるのも保守的になり過ぎるのもよくありません。しかし、モノ作り=Creation=Creativeでなくてはなりませんから、この2つのパターンを念頭に置いて行動するのは重要です。

オーダーメイドビジネスの対極としてパッケージビジネスというのがあります。世の主流はむしろパッケージビジネスです。大量生産大量消費の資本主義日本を支えているのはパッケージビジネスです。一見、オーダーメイドビジネスの方がパッケージビジネスより難易度が高いように見受けられますが、そんなことはなく、むしろ様々なノウハウを集合知としてパッケージ化し販売し、ましてやそれを軌道に乗せることは、より複雑で難易度の高いことだと思います。クライアントとの対話で築き上げていくオーダーメイドは、Try and Errorの繰り返しでモノの世界観を構築していけばいいわけですが、パッケージは商品化されると同時にユーザと世界を共有できる力を孕んでいなくてはなりません。

モノ作りに携わっている以上は、いつしか自分のノウハウを体系化し標準化し、よりあまねく大勢の人々との接点を開拓してみたいと思いますが、パッケージビジネスに乗り出す体力も力量も今の僕にはまだありません。

オーダーメイドビジネスかカスタムメイドビジネスかパッケージビジネスか、今の僕はオーダーメイドビジネスしかその範疇にありませんが、いずれカスタムメイドビジネスやパッケージビジネスに乗り出せるだけの体力と力量を身に付けておきたいと思うわけです。

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