「そのまんまマニフェスト」に見る自治体ブランディング
宮崎県知事の東国原英夫氏に注目が集まっています。政治にそれほど関心のない、僕のような人間でも、TVで放映されるなかなかしたたかなスピーチの様子を見ていると、「そのまんま東」としての芸歴が支えるもの以上に、物事を進めていくためのパワーが感じられて好感を持っています。
さて少々古い材料ですが、東国原氏は県知事選挙の時に「そのまんまマニフェスト」なる提言を公開しており、今後これが県政に反映されていくものと思うのですが、これはよくよく読んでみると、政治を通した宮崎の「再ブランディング施策」というように読み解くこともできるように思います。
最近ですと元長野県知事の田中康夫氏が「脱ダム宣言」を掲げて、長野の改革を進めようと試みましたが、旧来の勢力からの反発にあい、結果だけ見ると失敗に終わったと認識せざるを得ません。田中氏によって対外的にも対内的にも長野ブランドの価値が高まったという印象は薄いように思います。
田中氏の施策を素人目で判断すると「わかりやすさ」と「わかりにくさ」の間のギャップが大き過ぎたということがあるように思います。「わかりやすさ」は大事ですが、それだけで政治は回せないでしょうし、「わかりにくさ」は必要悪ですが、そこにこそ噛み砕く努力が必要です。
その点、「そのまんまマニフェスト」では、この「わかりやすさ」と「わかりにくさ」のギャップが比較的小さく仕上がっていると思うのですよね。東国原氏はちょっとした論客でもあり、方言を交えてスピーチする様は情熱的で印象的ですが、割とマニフェスト自体は「平易に」「淡々と」「冷静に」まとめ上げられているように感じました。「わかりやすさ」と「わかりにくさ」のギャップが小さいということは、押し並べて言えば、話全体は「わかりやすい」と受け取られることになるのだと思います。
それともう一つ、今回のケースで大事だなと感じるのは「広報」より「啓蒙」です。対内的に宮崎の価値を再発見し、再認識し、再教育することこそが宮崎のブランディングのファーストフェーズになるべきで、それは対外的な「広報」より対内的な「啓蒙」において支えられるべきだと考えます。宮崎のスポークスマンとしての代表であれば、他のタレント候補でもいいわけで、「そのまんまマニフェスト」を掲げて県政を行って行く上では、県民と対話し、県内企業と対話し、県議会と対話する、インナーコミュニケーションがしっかり行えなくてはなりません。
東国原氏は「宮崎のセールスマンになる」とおっしゃってますが、社内の状況を鑑みないで大風呂敷を広げる営業は、結局成果を出せませんから、対外的な顔としてだけでなく、対内的なフォローシップの発揮もしなくてはならないと思います。その上で、今後は宮崎県民という同胞に達成要件を課して行く必要も出てくるでしょう。
とは言え、そういう姿勢がある人だという印象を与える、この「そのまんまマニフェスト」は宮崎ブランディングにおけるDeclarationとして成功だと思うのです。13ページほどの文章なので、一度ご一読いただくと、面白いですよ。




