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なんとか力

「なんとか力」というのが苦手です。例えば田坂広志氏が個人シンクタンクに必要な7つのシンクタンク力として挙げていたのが「インテリジェンス力」「コミュニティ力」「フォーサイト力」「ビジョン力」「コンセプト力」「メッセージ力」「ムーブメント力」という7つだったのですが、僕の率直な感想としては、そんなに「なんとか力」並べられても疲れちまうよ、という印象。

そんな話を講演の帰りにお世話になっている方にしてみたら、「それはそういう便宜的な呼称に過ぎなくて、肝心なのはそれについてくる物語やエピソード」というご意見をうかがいました。たしかにその通りで、「なんとか力」というのはシンボルでありアイコンであり、講演という大きなブランドストーリーの中で、各機能のブランディングをしてることに他ならないのだなあと感じました。物語やエピソードを記憶に留めておき整理して収納しいつでも引っ張り出せるトリガーとして「なんとか力」という呼称を用意しているということですね。

思えば「物事に対するキャッチーなキーワード」ということに僕は少し懐疑的で、また「要点を捉えた簡潔な箇条書き」ということにも同じく懐疑的で、しかしよく「成功するブログの条件」のような記事を見ると、大概この「キーワード」と「箇条書き」が重要なようです。

もしかすると順序が逆なのかも知れません。僕は往々にして注目の「キーワード」と重要事項の「箇条書き」をブレイクダウンして、それを「物語」にするという作業を行っているわけですが、むしろ前者の書き方ができる人達というのは、初めにまず「物語」があって、それを「キーワード」と「箇条書き」にブレイクダウンしてまとめているのかも知れません。

いくつかのエピソードを体裁よくまとめ、より読み手に理解しやすいように、また、引き出しやすくするための試みとして、「なんとか力」のようなキーワーディングがあり、それは普通に小見出しを用意して要約するより、シンボリックで記憶に残りやすい手法なのかも知れません。

そう考えるとブランドという一つの構造体に対する考え方は、講演・文章と言った構造体の完成度を高める目的でも、アプローチの仕方として汎用可能なのかも知れません。プレゼンテーションのブランディングなんてのもありかも。元々1つのブランドがあって、そのブランドの意思を全ての活動に反映させていくというのがブランディングですが、あるストーリーのテーマを改めて大きなブランドとして捉えると、もう少し細部まで一貫したエピソードの作りこみができるかも知れません。

そういうストーリーの精緻さ、細部までコントロールされた仕事というと小林秀雄氏の批評や村上春樹氏の小説なんかを思い起こしますが、そういう物書きの構造体へのアプローチというのは、逆説的に言えばブランディングに役に立つのかもなあということを改めて感じました。ですから、僕は飽きもせず仕事に役立つという仮説を以って、小説を読み耽っているわけで。

僕の企画書には「なんとか力」はこの先もあまり登場しないように思いますが、企画書という一つのストーリーテリングにおいても、そのペーパー自体をブランディングしてやるというアプローチがあってもいいのかと感じています。

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