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知の放牧

ネットノマドというソーシャルアクトにおける、「知=Intelligence」の在り様をどう定義するのか、というのがここ数日の課題でありました。たまたま読んでいた本『嶋浩一郎のアイデアのつくり方』にヒントがありました。嶋氏は情報の取り扱いを「収集」、「放牧」、「化学反応」の三段階に分けており、特に「放牧」というフェイズがネットノマドにおいては重要なステージなのではないかと感じました。

嶋氏が語っているのは情報収集ということについてですが、ことに複数人のインディペンデント・コントラクターの集合体においては、その緩やかなコミュニティの中へ収集した知を放牧し、巧いマッチングの相手が見つかれば化学反応が起きるという構図は、至極シンプルで、しかしこの「知を放牧する」ということはなかなかどうして難しいことのように思います。

個人間の知を放牧する一番簡単な手段は「交換日記」でしょう。お互いの文脈を汲みながら、代わる代わる新しい文脈を用意し高め合い時間軸を共有するということは立派な「知の放牧」です。ただ記録するのではなく二者間のコミュニケーションを前提として認めるわけで、ここには時が経ると共に醸成が生まれます。

ただ交換日記は今の時世からすれば不便なものかも知れません。以前、クライアントから事務作業を処理するのに交換日記形式でノートに記述しているが効率が悪いという話をされ、どうしたものかと相談を受けた時に、僕はやはりプリミティブな手法ですが「ホウレンソウメールを作ってみたらどうですか?」というお話をしました。

「ホウレンソウ」とは言うまでもなく、「報告、連絡、相談」なわけですが、ある程度定型化し、日報的にホウレンソウメールが蓄積されていく環境を用意することで、二者間のコミュニケーションをより効率的に活性化させようという試みでした。無作為にメールでやり取りするよりは、こうやってルーティンワークに取り込みやすい体制を作った方が無駄がなく継続しやすいようです。

それでは複数間ではどうするか。今一番便利なのはSNSのコミュニティ機能の利用でしょう。もしくはイントラSNSのように身内だけにユーザを限定するタイプのSNSを利用するのもいいかも知れません。ただSNSはユーザがどれだけコミュニティに対してコミットするか、寄与するかというところで、かなりバラつきが出てきますから(必ずしも自分に対して向けられた情報と認知されないケースが多いので)、運用はうまくやらねばなりません。

ナレッジマネージメントという言葉が一時期流行りましたが、そうやって知を「管理」しておこうということではなく、やはり知をコミュニティ内に「放牧」しておこうというスタンスが大事なのではないかと思います。必ずしも利潤に直結するものだったり、仕事に直結するものだったりする必要もなく、ただユニークな知がコミュニティメンバーの間で空気のようにシェアされている状態というのが理想かなあと思っています。

前述の『嶋浩一郎のアイデアのつくり方』ではあくまで一個人の情報管理術がテーマでしたが、同じスキームが集団においても通用すると思います。それぞれがネタをコミュニティ内において披露し合い、知がそのコミュニティ内において放牧されている状態が作れれば、誰かの発信した情報が誰かの受信するアンテナに引っかかったところで、化学反応が起きるやも知れません。

始まりと終わりは割とクリアですが、肝心なのは中間のフェイズで、「知の放牧」ということがコミュニティ内においてどのように行われるべきなのかということが、今後の論点になってくるのではないかと思います。垂れ流しでもなく独り善がりでもなく、コミュニティが有機的に知を放し飼いにし、色々なプロジェクトに各々が積極的に参画できるスタイルということを考えなくてはいけませんね。

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