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CaesarよりAugustus

ヨーロッパの文化に関しては僕にはロザリウムの小林朋子氏という心強い味方がいて、しばしばシンボル開発のご相談なんかにも乗っていただいておるのですが(例えばヨーロッパ社会における「角笛」の文化的意味をお教えいただいたり)、昨日たまたま古代ローマ史にフォーカスした特別番組がテレビでやっておったのですが、ちょっと面白い話を思い出しました。

プロトコルというのは僕らの業界ですと真っ先に「通信プロトコル」を思い浮かべてしまいますが、この言葉には「国際儀礼」という意味もありまして、その中にはどのようにすれば国際的に文化的な理解が深い人物と思ってもらえるか、というセオリーみたいなものが含まれます。

僕も最初は何をどう答えるかというのは個人の自由だろうと思ったのですが、よくよく思い起こすとアメリカに行った時に自分は無宗教と英語で言ったら向こうの人に変な顔された経験はありますし、初対面の人と接する時のとっかかりとして、最低限こう答えておけば得はすることはなくとも損はすることはない、という内容は特に外交なんかやる人には必要なんだろうと考えを改めた次第です。

小林氏の授業の導入で小テストみたいなのがありまして、「好きな花は?」とか「好きな画家は?」とかを選択形式で答えるのですが、「好きな人物は?」と聞かれた時にはCaesarよりAugustusって答えたほうが良いのだそうです。

Julius Caesarはガリアを平定して、ルビコン川を渡り、Pompeivsを追い詰めて、Cleopatraと恋に落ち、最後は暗殺されてしまいます。「Et tu, Brute?(ブルータス、おまえもか?)」です。一方、Augustusは帝政ローマの200年に渡る「Pax Romana」の礎を築きます。日本史で言えば徳川家康、という感じでしょうか。Caesar、Napoleon Bonaparteなどもそうですが、一代限りの栄枯盛衰より、その後何百年にも渡る平和を築いた人の方が、偉いかどうかは別として、とりあえずこいつ歴史の意味をわかってるなと、初対面の人に受け入れてもらいやすいということです。

マーケティング本の一つでScott M. Davis氏とMichael Dunn氏の共著の『コンタクトポイント戦略』という本がありまして、ブランドビジネスというのはDMやWEBサイトやコールセンターや営業マンなど全ての顧客との接点でブランドを体現していなくてはいけないという内容です。これは言うなれば「ブランドプロトコル」ということでないかと思うのです。

顧客がブランドに対して抱いているコンタクトポイントのあるべき姿があり、その期待を裏切ると信頼は失墜してしまう。こういうことは非常に国際儀礼という意味での「プロトコル」ということと意味が近しい気がします。昨年NHKが売り出して隠れ流行語大賞だと個人的に思っている、ブランドの「流儀」といったものとも言えるかも知れません。

プレゼンテーションは自分のことをよくわかっているだけではだめで、プレゼンテーションをする相手のことをよくよくわかっていなければなりません。自分が西洋文化に対して一定の理解があるということを示す回答が「CaesarよりAugustus」ということなわけで、そういうことは国際交流以外の場所であっても必要な考え方だと思います。

できる営業マンは、自分たちのことを理解してもらうための努力よりも、クライアントのことを理解するための努力に重きを置くものだと思います。

ですから多分、入り口は「CaesarよりAugustus」で行った方がいいんですよね。

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