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素朴志向

最近、flickrに写真をアップすると、「どれだけ田舎に住んでいるんだよ!」と突っ込まれます。今でこそバブル崩壊で頓挫していた駅前開発も一段落し、駅前の高層マンション群も東京・品川近辺勤めの所帯持ちの30代の会社員の方や、海外駐在帰りの40代・50代などで大人気の様子。こないだ美容室で仕入れてきた情報ですが、「横須賀線沿線で住みたい駅ランキング」で1位横浜、2位鎌倉、3位に東戸塚がつけているそうです。いやはや出世したものだ。ちなみに東戸塚を選ぶ理由の一番は「きれいだから」なんだそうです。

横浜の片田舎で仕事をしていると不便な面もいっぱいあります。一番大きいのはアクセスで、ちょっと気軽に人に会う、ということの頻度が意識しないと落ちてしまいます(それはそれでプラスなこともあるんだけど)。でもやっぱり山を越えれば自然があって、河を歩けば植物が植えてあって、僕も何となく住みやすいな東戸塚、と思います。

あんまり東京のビル群とか見ても心躍りませんし、イルミネーションとか見てもロマッチックだとは感じ得ず。割と都会を冷めた目で見ている自分がいます。

旅行は国内が多いです。それなりの観光地に行くわけですが、林や小川に囲まれた遊歩道を歩きながら、気ままにシャッターを押す、というのは最高の贅沢のように思います。消費も生産もしなくていい時間、というのは人生の節目節目で必要なように思います。

ここ数年ですと上高地と熊野は良かったですね。目を向けるべきものが一杯ありました。旅先の写真を見せた時「何かここは記念撮影するような有名な場所なの?」と聞かれたことがありますが、僕が心象風景を残しておきたかった景色がそこにはあったわけで、有名なものを押し付けられるより、無名な魅力を旅先で発見する方が、何だかワクワクします。勿論誰しもが認める良いものというのは実際に良いものが多くて、それはそれで刺激になるんだけれども。

玉村豊男氏の『里山ビジネス』という本を読みました。著者が長野の山奥でワイナリーと併設するレストランを開いた話です。よく「会社40歳で辞めて、喫茶店のマスターでもやりたい」なんて話を聞きますが、それとはまた別で、やりたいからやりたいところでやりたいようにやってみた、というような話で羨ましいなあと思うのと同時に、人の生業というのは本来的に、そういう非常に原始的なモチベーションに突き動かされて始まるべきだな、などとも思いました。カッコいい建前論とか大して重要ではないのです。好きなことをシェアしたい、という非常にシンプルなモチベーション。

今の世界があまりにも複雑で、フラット化とは言っても単純化とは言われないわけで、ますます人の世は複雑になっていくのだと思います。そういう流れの中にあって、どれくらいシンプルに、自分の好きなものを大事に、世の中と付き合っていけるのか、そういうことを考えると、「素朴さ」ってのは時に自分の生活に取り戻さなければいけない要素なのではないかと思います。

素朴を保ち続けるのはきっと非常に難しい。だから時折、自然の中に自分を放り込んで素朴さを取り戻す作業が必要なんです。

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