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成功と失敗の連鎖と集積としての「原型」

早くも「型」の語らいが盛り上がってまいりました。いつもは書きっ放しな僕ですが、連鎖反応的に議論が醸成されるのを眺めつつ、茶々入れながら考えを膨らませるというのはとても愉快です。知的な遊びと言いましょうか。

環境ということを一つの「型」として捉えた時に思い出したのが、以前、J-WaveのLOHAS TALKをPodcastで聴いた時に、桐蔭横浜大学の涌井史郎氏が仰っていた、「景観10年、風景100年、風土1000年」という言葉でした。涌井氏の専門は造園、今風に言うところのランドスケープデザインというようなことだと思うのですが、時系列において「型」のアップデートが行われているということが読み取れます。

日本の伝統芸能というのは、その根本に他者とのコミュニケーションということがあるのだと。それだからこそ、「型」が重要視される。ではそれが綿々と受け継がれるにはどういう理由があるのか。型を生み出した言わば「原型」なるものがあるのであろうという議論になりまして。

この「原型」、僕は成功体験と失敗体験の連鎖と集積なのではないかと思うのです。平たく言えばトライ&エラーです。平家物語は多くの琵琶法師が語り継ぐことによって洗練されて来たと言われます。日本のその他の伝統芸能もそう。「一期一会」を日々繰り返し研鑽し、その上でそのコミュニケーションの出来、不出来から学習し、フィードバックとして「型」がこれからあるべき姿へと還元する。そういう「型」を取り巻くエコシステムがあるのではないかと。

「型」は「普遍」を目指すが、「不変」ではないという言い方もできるのではないかと思います。大きな時間軸で見ると緩やかな変化なのかもしれませんが、しかし点で見ると確かにそこには「型」を守りかつ育てるための仕組みがある。朽ち果てないための弛まぬ努力があるはずです。

その上で、そうした型を受け継いでいく最初の方法は「真似」ですよね。以前、「女性的なもの」という記事で、小学生の時に好きな字を書く女の子の字をただひたすら真似ていたなどという逸話を書きましたが、きっと彼女は習字にも通っていたのだろうし、当時から物臭だった僕と違って漢字ドリルも真面目にやっていたのでしょう。僕はその成果物を覗き見してなぞっていたわけで。

文字というのは文章とか文体とか言葉とかいうものが一番ブレイクダウンされた要素なわけで、ある意味真似やすいですが(本質的にはもっと奥が深いのやも知れませんが)、もう少し門下がいるとそういうわけにもいかなくなる。もっと大きな塊として思想や思考を体系化してまとめておかないと、なかなかに受け継いでいくことはできない。もしくは、成功体験や失敗体験を並べ立てても気の遠くなるようなコミュニケーションになってしまうから、マインドセットを整理して構造化して整頓する。その発露が「ルール」という制約なのかも知れません。

今面白法人カヤックの柳澤大輔氏の『この「社則」、効果あり。』という著作を読み始めたのですが、あるべき方向へ法人という人格の「型」を伸張するためのルール作りなのかも知れません。極めてユニークな社則(例えばカヤックのサイコロ給など)の向こう側には目指すべき何かがきっとあるのでしょうし。

じゃあ、型が「自分ルール」的なものなのかというと、それも含まれるがそれだけじゃない、自分を含む、人間を育てるためのシステム、フレームワークのようなもの、という前半の論点に戻ってくるのだと思います。

何はともあれ、スタイルとかテイストとか言わずに、「型」と言い切ったほうが、チャラチャラしてなく良い、しかもそいつはなかなかに手強そうで楽しそう、というのはただの僕の嗜好性の問題でしょうか。

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