ジャンヌダルク・ブランディング
Posted on | 2007/6/27 12:04:18
ブランディングというのは広義な言葉で流行り言葉でもあり、様々関連書籍は出ているものの、イマイチ実像は掴み辛く、費用対効果も読み辛く、ましてや僕のような小業者がブランディングとか言っていると「何を世迷い言を」といぶかしむ向きもあろうかと思います。
その筋の書籍を読むと、ブランディングはある種学術的に体系化されていて、とは言え実際問題書籍を読んだからと言って、さてブランディング我が社でもしてみようとなったとしても、具体的なアクションは起こし辛いのではないかと思います。
ジャンヌダルクでも十字軍でもいいのですが、ブランディングは「行軍」に似ています。なぜならブランドには「一糸乱さぬ統率」と「柔軟な状況への対応」が必要とされるからです。ジャンヌダルクが描かれた絵画を見ると、よく隊列の先頭で白い旗を降っている様子を目にすると思います。あれがクライアントです。
「旗振り役」はプロジェクトの先導者であり、統率者であり、そのブランドを代表する者です。これはクライアントでなくてはなりません。よく「クライアントを巻き込む」ことを口を酸っぱくして言いますが、クライアントが本来あるべき姿で隊列の先頭に立ってもらうのが、ブランディングの前提条件です。ですからクライアントには隊列が行進を続ける限り、旗を降ってもらわなければならず、これはつまり、クライアントに体力を要求するということに他なりません。
では僕が何をするかと言うと、往々にして殿(しんがり)です。隊列の最後尾に立っている人ですね。隊列が旗振り役の旗に必死に追従し、一糸乱れぬ統率を見せ、時々の状況に柔軟に対応しながら、歩みを進めていくための現場監督です。殿ですから、勿論撤退する時は最後まで責任を持たなくてはなりません。
ブランディングという戦略は言わば旗を立てる作業です。しかし、「行軍」つまり「ブランドが歩みを進める」ということにおいては、むしろ逐次状況を把握し適切な提案を行って微調整を図っていく戦術と、行軍そのものの持続性を維持し遅れることなく早まることなく適切な歩調で旗に追従するための兵站が重要になってきます。
ブランディングは旗を立てる作業と言いました。プロジェクトの最初に旗を立てる作業は非常に重要で、僕はそのお手伝いをしています。しかし、ブランドの歩みが始まれば、それはクライアントに委譲され手を離れ、僕はただただその旗の導くままに施策を提案し実行します。
ですから、クライアントが降る旗は明示的でわかりやすくなくてはいけませんし、持続可能で廃れないものでなくてはなりませんし、きちんと目的の方角に向いていなくてはなりません。ジャンヌダルクは神話的な旗振り役ですが、神がかり的なものをあてにしててはいけません。
ただ最後尾から先頭を見ていたら、いつの間にか旗を降ってるクライアントがジャンヌ・ダルクのように見えてくるというのは、なかなか良い眺望ではないかと思うのですよね。


意外と知らない、「ヒトリシゴト」。案外、愉快で、楽しいです。気軽に読める、ビジネスエッセイ。

プランナー、加藤康祐のブログ、kosukekato.com : the idea espressoに掲載したコラム、2006/7/20「歴史は作られている」から2010/5/23「行為が流通するプラットフォームに新しい時代を感じる」を一冊の本にしました。

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