デザイナーじゃない人がデザインをする時に気をつけたいこと
Posted on | 2009/6/9 5:34:54
僕もきちんとしたデザインの教育を受けて来なかったので(教育機関ではという意味で)、デザインを覚えていく中であれこれ考えてきた経緯があります。勿論、独学で身につけたわけではなくて、丁稚奉公というか(いや給料はちゃんともらっていた)、弟子入りしてた感じで、かえってマンツーマンで教えてもらってたので充実してたとも思えるのですが、とは言え、美術大学出た人や、デザイン専門学校出た人とはちょっと出自が違うんですね。
デザイナーじゃない人がデザインをする機会ってのは結構あると思います。デザインもできるプログラマーが開発したWEBサービスなんてのも結構聞きますし、年賀状然り、ライブのDM然り、そもそもがデザインって日常から切り離された行為じゃないので、職業としてやっている人、以外でも大いにデザインをする機会ってあるのではないかと思います。
最近ですと、デザインを身近にしたのはやはりコンピュータとインターネットなのではないかなあと思います。特にブログのデザインはWYSIWYGでカスタマイズできたりするので、CSSをコードベースで編集する人も含めて、かなりオリジナルにデザインをするという機会が増えたのではないでしょうか。またビジネスユーザであればWord、Excel、PowerPointを使う時にも、それなりのことを要求されるのではないかと思います。
デザインというのは体系化された知でありつつも、色々な人が明文化しようとしていますが、とは言え感覚的な部分も多く、理屈を読んでもなかなか実際の数値的なところまで、一般の人にはブレイクダウンできないもの、になっているのではないでしょうか。事実、僕もデザインする時に気をつけたいことと考えると、「あれもあるし、これもある」みたいになってしまって、なかなか一概に片付けられないです。
とは言え、「デザイナーじゃない人が」と限定して、色々ある中でポイントをたった一つに絞ると、僕が最重要だと思うのは、ズバリ「マージン」、「余白」です。これがきちんとデザインに設定できるかどうか、ということで、見た目はえらく変わってくると思います。
日本絵画とか見てますと、それはディテールが削ぎ落とされ要素が単純化され、しかしそれだけでなくそこに用意された「間」が絵画の魅力を際立たせている、ということを見受けられると思います。平面造形というのは色が白から黒まである時に、白から黒へどれだけをどのように塗り潰すかというところに収斂されると思うのですが、まさしく「余白」の量が、大きな意味を持ってくるわけです。
WEBデザインを考えてみると、フルFLASHサイトのような完全に自由なレイアウトを持っているものはまだしも、昨今のポータルサイトやコーポレイトサイト、ブログなどのデザインはなかなかに情報がぎっしりで、あまり「余白」という感じがしないかも知れません。しかし、よくよく見てみると、それぞれのパーツにきちんと「マージン」が指定され、整然と見えるサイトほど、この「マージン」が絶妙にコントロールされていることに気付きます。
印刷ですと、組版があるくらいですから、もっと一文字一文字までにフォーカスしたコントロールが効いているわけです。日本語の名刺ですと、氏名が苗字2字、名前が3字の時には苗字の字間をどれだけ、苗字と名前の感覚をどれだけ、名前の字間をどれだけ、というような暗黙のルールさえある。先日、建築をやっている後輩に名刺のマージンを褒められましたが、きちんと設計されたマージンは、それだけで見る人の印象を変えます。
とは言え、ありとあらゆるルールを全部踏まえるのも難しいでしょうし、そもそもがマージンをどれだけ設定すれば良いかということはある種「絶対音感」みたいなものだったりして、それなりに経験の蓄積が必要になってくるのものだと思います。
WEBデザインで言うなれば1ピクセルにこだわる、というのはプロの世界でしょうが、そこまで普通の人にはなかなかできませんが、5ピクセル、10ピクセル辺りの単位で考えるともう少し簡略化できると思います。900ピクセルの幅のWEBサイトで1ピクセル単位で考えると900パターンのものが、5ピクセル単位で考えた場合180パターンに、10ピクセル単位で考えた場合90パターンに、圧縮されます。
そうやって単純化したうえで考えていただきたいのが、「余白の持つ意味」です。例えば、基本的なマージンを10ピクセルで考えた時に、あるモジュールに対して、20ピクセルのマージンを用意するのか、それとも30ピクセルのマージンを用意するのか、「余白の持つ意味」を考えることで論理づけることが大事です。
とは言え、余白は意味を持たないから余白でもあるわけで、正確に言うと、「余白が囲う情報の意味」を考える、ということになります。この全体における「余白が囲う情報の意味」がそれぞれに対して規定できることによって、それぞれを囲う余白が持つべき意味性が明確になってきます。例えば、特に強調したい重要な情報、混在させたくない別個の情報などを整理するために、余白を増減させることでコントロールする、というような考え方です。
デザインのことを考えると、例えばフォントに凝るとか、装飾するとか、シェイプするとか、色とか、果てはユーザビリティみたいなところまで話が飛んでしまうのかも知れませんが、まず以ってシンプルでも鑑賞に耐え得る表現ができるかどうかは、この「マージン」の力によるところが大きいように思います。
何だ、あんまりつまらない話だね、と思われるかも知れませんが、WEBサイト然り、年賀状然り、ビジネス文書然り、これで大分違ってくるものです。ちょっと意識して作ってみてはどうでしょう。


意外と知らない、「ヒトリシゴト」。案外、愉快で、楽しいです。気軽に読める、ビジネスエッセイ。

プランナー、加藤康祐のブログ、kosukekato.com : the idea espressoに掲載したコラム、2006/7/20「歴史は作られている」から2010/5/23「行為が流通するプラットフォームに新しい時代を感じる」を一冊の本にしました。

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