コンテンツビジネスはこれからの日本を支えるのか
Posted on | 2009/6/21 11:51:11
「iPhoneプラットフォームの魅力を決めるのはどこまでアプリの値段を上げることが可能な市場になるかにかかっている」という記事を読みまして、色々考え込んでしまいました。iPodがiPhoneがデジタルコンテンツのオンラインでの購買というのを一気に加速させて、一方で開発者側にフェアというか、魅力的なプラットフォームでは必ずしもない、という指摘があると。ユーザ側からすると極めて適正な価格で適正な機能が提供されているように思えるのだけれども、採算が合わないよっていう話だと、そのビジネスとしてのサステイナビリティみたいなものを確保するのが難しいですよね。需要側と供給側にWin-Winの関係をもたらすのが市場なわけで。
「マンガの殿堂」みたいな話がありますが、あれは予算取っただけで具体的に何をするのか決まってないようなとんでもない話だそうですが、コンテンツビジネスはこれからの日本を支えるとかって議論が僕はどうにもしっくり来ていないところがあって、何と言うかコンテンツビジネスって極めて小集団の才能の発露がたくさんあるという状態が理想で(小粒だけどピリリと辛い的な)、国策として大きなパッケージにする意味が今更あるのかって感じはするんですよね。
僕はゲーム業界の人間ではないので、正確な話はできないのですが、ソフトウェアハウス百花繚乱のファミコンの時代って、やっぱり素敵な時代だったのではないかと思うのですよね。それがどんどんゲームハードのスペックが高くなって、それに応じて人的時間的コストが大きくなって、戦国時代は終わってしまった感じ。この辺りの話は昔、「ゲームというインタラクティブコンテンツの先端」という記事でも考えました。
そう考えると、フロンティアはゲームの後、WEBの時代になり、そして今iPhoneプラットフォームに引き継がれつつあるという系譜なのかもしれません。スモールプレイヤーが活躍できるのは、村沢義久氏の「ビッグ3からスモールハンドレッドへ」というソーラー発電社会の話でもそうなのですが、新たなドメインの市場が勃興した時で、先に取り上げた記事にあるような不公平感がありつつも、今が勝負どころというところなのでしょう。
まあただ、『スラムダンク』や『ドラゴンクエストIII』の時代のように右へならえでコンテンツをトレンドとして消費する時代は終わっていて、日本という国はそういう意味でコンテンツビジネスが発達しているというより、コンテンツの消費行為そのものが発達している(多様化、細分化している)国なのだと思うのだけれども、マンガもアニメもゲームも、ちょっとコンテンツビジネスって言い方がふさわしいかどうかはわからないのだけれども、プロレスだって見事なまでにスモールパッケージに細分化されている。その上で、全体感として盛り上がっている感じはあるのだと思います。
そういう意味では糸井重里氏が昔使っていた言葉ですが、コンテンツが極めて「インターネット的に」扱われるようになって、コンテンツが、それはインターネットということに限らず、あらゆる流通の形において、「インターネット的に」広まるようになっている。
でも最近、インターネット業界で活躍されていたエンジニアが、高いモチベーションを持ってゲーム業界に転職するなんて話も聞きますし、僕が言うほど短絡的な構造ではないのかも知れません、コンテンツ業界という奴は。
ただ思うのは何かこう、今経済界を占めているような大企業群が、そっくりコンテンツビジネス業界のプレイヤーに入れ替わる、みたいなことは日本においてはちょっとないなあという印象なのです。そういう特性の業態じゃないという感じもします。むしろ、今期待される変化というのは、スポンサーに依存しないスモールプレイヤーでも参入できるコンテンツビジネスの展開で、そういう意味じゃ、iPhoneのプラットフォームなんかは、やっぱり魅力的なのではないかと思います。
小さいままでいられる贅沢、みたいなことを担保してあげるのが、実はコンテンツビジネスの質の維持においては重要なのではなかろうかと感じています。なまじ優良な雑誌がバタバタ倒れているような昨今だけに(Esquireとか残念です)、冒頭の記事で触れられているようなプラットフォームの適正さって大事なのではないかと。


意外と知らない、「ヒトリシゴト」。案外、愉快で、楽しいです。気軽に読める、ビジネスエッセイ。

プランナー、加藤康祐のブログ、kosukekato.com : the idea espressoに掲載したコラム、2006/7/20「歴史は作られている」から2010/5/23「行為が流通するプラットフォームに新しい時代を感じる」を一冊の本にしました。

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