憧れの頂
Posted on | 2010/1/11 21:55:09
あと2時間くらいで小生も三十路に突入します。いやはや、早いものですね。さてまあ、だからというわけではないのですが、今日夕方、NHKオンデマンドで『プロフェッショナル仕事の流儀』の浦沢直樹氏の回を観ておりまして、20年間一線に居続ける人に驚嘆しつつ、ある言葉が気になりました。「憧れの頂」ということ。
浦沢氏にとっての憧れの頂というのは、手塚治虫氏なんだそうで、手塚先生として彼の人を語る時の浦沢氏は、何かこう熱情を帯びていながらも恥じらっているようでもあり、僕もわからない気持ちじゃないんですが、ある種、初恋にして永遠の愛を語るような心持ちなのではないかと思うのですよね、ふむ。
年末に「kosukekato 2010」というのを極めて自己完結的に作りましたが、一番意味が合ったのは、実はこの12年間で僕の仕事人生の「守・破・離」の一巡目が終わったな、ということを認識できたことでした。いやさ、道を極めるという意味では、「守・破・離」というサイクルは40年とか50年のサイクルでもいいのかも知れませんが、僕はたまたま非常に身近なところに18歳である種の「憧れの頂」というのを見つけて、何だかんだ言ってそれを原点に、独立してから後も常にそのことを念頭に置きつつ、しかし徐々に昔目指していた方向性とは違う選択をしながら、仕事をしてきたなと思います。そういう意味で、ETを5年やってみて、「守・破・離」のサイクルが一巡したと結論付けていいな、と極めて個人的に思い至ったわけです。
ただ、先程断った通り、前述の「守・破・離」は道を極めるという意味ではないわけで、あくまで僕のこの12年間の勉強のスタイルがここで一巡したということであって、道半ばもいいところなわけです。じゃあこの先の道筋をどうつけていくかと考えていた時に、ロールモデルを追い求める時代でもなし、kosukekato 2010というアウトプットを用意することで、自分の仕事観を問い質してみようと思ったのですが、でもそれは未来への展望も含めて現状認識でしかなくて、たまたま耳にした「憧れの頂」というフレーズに、30歳を前に今の僕に欠損しているものを、アリアリと突きつけられてしまった感じがするのですよね。
身の回りに尊敬出来る人は山ほどいるし、12年前は「仕事」というフレームでしか扱えなかった「憧れ」も、今は「仕事」だけじゃなくて、「家族」とか、「生活」とか、「社会貢献」みたいな、色々な尺度で持てるようになりました。でも、そこに「憧れの頂」とも言えるような、ある種の執着を持てているかというと、十全ではない気がしています。「強い興味」は持てていても、「執着」を持てているかというと、僕は今自分をその辺り、昔と比べれば、随分淡白な状態なのではないかと理解します。
淡白なことそのこと自体は問題と思わないし、淡々と仕事を進めることに価値はあるとも思っておるのですが、ただ一方で、もう一度僕は「憧れの頂」にほだされないといけないのではないか、そんなように思います。で20代の後半を僕はほだされることを避ける代わりに、ある程度安定的に仕事や生活を回せる仕組みを作ってきたのかな、という気もします。それはそれで否定しないし、そうでなければ安心して30歳を迎えることもできなかったと思うけれど、初心に返るというと言うと有り体なんだけれども、もう一度、ほだされてみたいと思うわけです。
幸いにしてここ数年はモチベーションを共有する知人友人も増えてきて、そういう人に「次の展開」とか「新しい何か」を求められて、僕はしばしば今見える地平の中でそういうことを論じてきたわけだけれども、その僕が見ようとしていた地平は、僕が都合よく見ようとしていた地平であって、僕が本来的に見るべき地平は、まだまだ際限ないものであるようにも思えます。30歳、決して小さくまとまってもいい年でもないですよね。
さてまずは勉強からだ。何か始めるにはまず勉強。そしたら何か始まる。
だからまあ結果的にはkosukekato 2010で考えたようなことを実践して行くしかないのだけれども、僕が強烈にこれまでに影響を受けた「いくつか」に僕はもう少し素直に真摯に相対して、少し熱を帯びた30歳のスタートにしたいと思いました。そういう意味で、誕生日前の『プロフェッショナル仕事の流儀』はいい処方箋になりました。


意外と知らない、「ヒトリシゴト」。案外、愉快で、楽しいです。気軽に読める、ビジネスエッセイ。

プランナー、加藤康祐のブログ、kosukekato.com : the idea espressoに掲載したコラム、2006/7/20「歴史は作られている」から2010/5/23「行為が流通するプラットフォームに新しい時代を感じる」を一冊の本にしました。

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