プロセスをなぞるということ
Posted on | 2010/2/22 20:53:14
最近、自分のブログのColumnを書かずに、すっかりET Luv.Lab.にお熱なのですが、まあなんて僕はこれまで自分にばかり興味の目を向けていたんだバカバカなどと思っています。取材に行くのも、撮影するのも、テープ起こしするのも、原稿チェックを待つのも、言わば初めての体験で、総じてインタビューって面白いなあとつくづく思っています。本当に楽しい。
インタビュー、とは言っても、日頃から懇意にしている方達に話を伺いに行ってるので、大した下準備もしていません。アポ取ってからボーッと、どんな話が聞けるかなあと一週間くらい妄想して、大体4つトピックを決めてノートに箇条書きにしています。で、思いついたことは一応ささっとメモっておいて、でも取材ではノートは開きません。頭の中に、何となくストーリーを作っておいて、でもその通り聞いても全然面白くないので、即興で質問しつつ、大くはただただうなずきつつ、でも終わってみると不思議と最初に描いていた青写真と大きな流れはずれていないから不思議。まあでもET Luv.Lab.のインタビューの骨格って、その方と付き合ってきて僕が見ているその方の魅力の骨格なので、あんまりずれが無いのかも知れないですね。僕を面白がらせようとして話てくれる話は、僕が面白いと思っているその人の魅力にきっと近しいので。
それと、プロセスが見えてくるというのはとても楽しい。ただ話を聞いていると理解というのはざっくりとした全像になると思うのですが、文字に起こそうとしてみると、色々自分でも考えることができるんですね。テープ起こしをする時は、iPhoneのSpeakEasyというソフトで録音したファイルをWiFi経由でPCに取り込んで、iTunesで再生と停止を繰り返したながら2時間くらい戦うのですが、一節ごとに一時停止して、文字に起こして、前後の繋がりを考えて言い回しを調整して、なんてやっていると、一節ごとの先方の思索の変化に思いを巡らせることになるんです。
一節ごとに僕は先方の思いを想像し、思索を分析し、自分の経験と照らし合わせ、それを以て自分の責任において、先方の言葉を認める。そのショートスパンの繰り返し作業が、僕自身に取っての学習という意味性において、大変密度の高い思考の反復になっている。今日び、インタビューというとポッドキャスト、場合によってはUstreamもあるわけですが、敢えて、と言うか、経験も浅いからという理由でテキストベースのインタビューサイトという形態を取ることにして本当に良かったと今思います。
学習という意味では写経や写本と似ているのかも知れません。ただ僕もそこにインタビュワーとして主体的に関わっている。だから、より一節一節に思い入れを持って向き合える、場合に拠っては丁寧にコンテンツと向き合える、ということなのかも知れません。過剰な加工や編集はしない方針ですが、それでも帳尻合わせをしなければいけなくなる。そういう塩梅の調整作業というのは、実はすごく楽しいです。
そんな話を家人と夕食中にしておりましたら、初等教育の話になりました。テストの点や合格した中学という成果も評価されますけど、10年、20年経って思い起こされるのは、そういう成果ではなくてプロセスだねと。世の中、プロセスが評価されることはなかなか難しいけど、ことに自分の人生を振り返ってみれば、教育なんかはプロセスにこそ価値があるねと。
それで気付いたのは、プロセスって当事者しか体験できないコンテンツとして楽しめない、という意味においては非常に贅沢なコンテンツなんですよね。学生時代に作った企業サイト、それを思い浮かべる前に、僕は先輩の家で制作のために泊り込み合宿を張ったことを思い出します。アーロンチェアに座らせてもらったこと、2時間でデザイン案出せと言われて出せなかったこと、徹夜後の朝、お母様にいただいた野菜とラムを挟んだサンドウィッチが飛び切り美味しかったこと、そんなことを思い出すと、今でも不思議と勇気が湧いてくる。モノを作る仕事をしているわけで、成果を出すのは大事なことですが、ことに自分の人生という意味性において考えると、僕の今を強烈に支えているのはプロセスの記憶なのだと思うわけです。
まあ、インタビューですから、一次的な体験ではないわけですが、二次的であったとしても当事者から口伝えで、その人が経てきたエキサイティングな思索と行動のプロセスを聞かせてもらうっていうのは、やはり贅沢には違いがなく、ET Luv.Lab.をご愛読していただいている方には大変申し訳ないのですが、僕が一番面白いんですよ、この企画。
そんなわけで、明日も取材です。楽しみ。本業もしっかりやっていますゆえ、ご心配なく。


意外と知らない、「ヒトリシゴト」。案外、愉快で、楽しいです。気軽に読める、ビジネスエッセイ。

プランナー、加藤康祐のブログ、kosukekato.com : the idea espressoに掲載したコラム、2006/7/20「歴史は作られている」から2010/5/23「行為が流通するプラットフォームに新しい時代を感じる」を一冊の本にしました。

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