虎の威を狩る
Posted on | 2009/2/26 21:03:50
ちょっと前に地元東戸塚のオーロラモールという商業施設のフードコートに、「花月」というラーメン屋さんが出店しまして、前を通るたびに気になっていました。なぜってこの店、何か他の店の暖簾で勝負していたりするのですよ。TVチャンピオン優勝のラーメン屋さんの原案のものだったり、浅草の老舗製麺所の名前を全面的に押し出したり。で、その商品に「~屋~麺」みたいなあたかも花月という大枠の中にそういうラーメン屋を開きました、みたいな見せ方をしている。サブブランドみたいな。
有名店プロデュースのカップラーメン的な作りと言いますか。的矢産岩牡蠣とかイベリコ産生ハムとかデュラム産小麦とか、原産地ブランドを大きく出すことはあっても、他店のブランド力に寄り添う形のチェーンの飲食店は初めてみたように思い、興味深く感じました。
同じく東戸塚駅の改札前に、Monthly Sweetsという露店があります。これよく考えられているなあと思っていて、2軒並びのお菓子屋が毎月入れ替わるんですよね。エキナカってのは限られたスペースですから、できるだけ収益率の良い形を選びたい。でも生活者はすぐ飽きる。経済効率的に考えれば、おそらく選定から契約から何からして、毎月テナントを入れ替えるのはそれなりのコストが余計にかかるのかも知れないと推測されるのですが、それ以上に効果があるから続いている業態なのでしょうね。
右の店と左の店、どちらに人だかりができているのか、どちらが売り上げがよいのか、どちらが活気溢れる店なのかというのも一目瞭然で、なまじ人の流れの影響も大差ない分、クリティカルに成果が要求されるというか、商売に張り合いが出る構造にもなっているように思います。
ファッションの世界ではコラボレーションというのは話題喚起の常套手段です。H&Mの日本上陸の際には、コムデギャルソンとのコラボレーションが話題になりました。もともとH&Mは例えば2004年にFENDIやCHANNELのデザイナーを勤めたKarl Lagerfeld氏ともコラボレートしており、世界的な注目を浴びるきっかけを作りました。
この不況下で絶好調のファーストリテイリング、ユニクロも、佐藤可士和氏のディレクションで大きく生まれ変わり、Designers Invitation ProjectとしてEdgyなデザイナーによる商品をユニクロブランドがパッケージ化することで、話題喚起を図りました。また、ユニクロのグラフィックTシャツは色々な、例えば海外のデザインスクールや日本の漫画の出版社などとコラボレーションして、生活者を飽きさせない取り組みをしています。
Newsgraphyという面白いサイトがあります。言わばネット上のあらゆるニュースの「勢力図」で、見事に様々な情報が一つのサイトの中に視覚化されています。このサイトはMashup Awards 4の優秀賞を受賞しています。
Mashupとは何ぞやというところはWikipediaから引用します。
複数のWebサービスのAPIを組み合わせ、あたかも一つのWebサービスのようにする機能のこと。音楽用語のマッシュアップ(複数の音源を組み合わせるという意味)を、音源をWebサービスに置き換えてITの世界でも使用するようになった。
APIとは何ぞやというところもWikipediaから引用します。
API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース、Application Programming Interface)とは、アプリケーションから利用できる、オペレーティングシステムやプログラミング言語で用意されたライブラリなどの機能の入り口となるものである。主に、ファイル制御、ウインドウ制御、画像処理、文字制御などのための関数として提供されることが多い。
ちょっとわかりにくいかも知れませんが、例えばYahoo!とかGoogleとかAmazonとかが持っている情報を外部から利用できるよう部分的に公開している、みたいなイメージです。実際、先に挙げたNewsgraphyも、Yahoo! ニューストピックスAPIとGoogle Maps APIが使われているんだそうです。
APIを提供する側としても、APIを利用する側にも、それぞれにメリットがあり、Win-Winの関係が成り立っていると思います。APIを提供することによって、加速度的にサービスを利用するユーザの裾野が広がってゆく。非常にネットらしい仕組みです。
ブランドということを考えた時に、自社の資産で全てを解決するのには限界があります。これからますます外部の何かが自身の信用を担保してくれるような仕組み作りというのは必要で、「虎の威を狩る」という発想は、邪険にされるだけではなくなってくるように思います。
ただ、ぶら下るのではなく、威を狩るのです。
とは言え、今日挙げてみたような事例は、それ単体が企業の収益を支えているものではありません。むしろサポーティングパラグラフ的な面が大きい。けれどもそういうものの積み重ねというのは、嗜好性も行動様式も多様化していくこれからの時代にあって、大事なことではないかと思っています。
ただ、「虎の威を狩る」発想をお金でやっちゃうと、大変なことになりますけど。。。


意外と知らない、「ヒトリシゴト」。案外、愉快で、楽しいです。気軽に読める、ビジネスエッセイ。

プランナー、加藤康祐のブログ、kosukekato.com : the idea espressoに掲載したコラム、2006/7/20「歴史は作られている」から2010/5/23「行為が流通するプラットフォームに新しい時代を感じる」を一冊の本にしました。

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